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継手に使われる大工道具

投稿日 2026年10月5日 ・ 確かめた日 2026年10月5日

日本大百科全書は、大工道具を用途別に、測る・印す道具、切断する道具、削る道具、穴を掘り、あける道具などに分類している[1]。本記事は、このうち鋸・鑿・鉋・墨壺・曲尺を取り上げ、それぞれの役割と、名前や歴史について資料で確かめられることを紹介する。使い方や刻み方は扱わない。

切る:鋸

鋸は、木材の繊維に沿って切るものを縦挽き鋸、繊維を横断して切るものを横挽き鋸という[2]。

日本での鋸の歴史は、資料によって細部が異なる。Wikipedia 日本語版は、鋸の初見を古墳時代の出土品とし、鎌倉時代に横挽き鋸が建築現場で使われるようになったが縦方向の切断はできなかったとする。室町時代になると、二人挽きの大型の縦挽き鋸である大鋸(おが)が大陸や朝鮮半島から伝わったとしている[4]。

大鋸の伝来時期は辞典ごとに値が異なる。世界大百科事典は 14〜15 世紀ころ中国より渡来したといわれるとし、ブリタニカ国際大百科事典は 14 世紀頃に導入されたといわれるとする。デジタル大辞泉は室町時代に中国から伝来したとし、精選版日本国語大辞典は室町時代初期に中国の明から伝来したとする。日本大百科全書は、室町中期には日本で使われていたらしいとする[3]。長さは世界大百科事典と精選版日本国語大辞典がいずれも約 2 m とし、精選版日本国語大辞典は二人がかりで両側から交互に引くものとする[3]。

掘る:鑿

鑿は、穴をあける作業に使われる道具である[1]。日本大百科全書は、4〜7 世紀の古墳から多くの種類の鉄製木工具が出土しており、この時期に斧、ちょうな、鑿、槍鉋、鋸、刀子、錐など、墨掛道具を除く基本的な大工道具がほぼ出そろったとしている[1]。

鑿は大工道具のなかで最も種類の多い刃物とされ、大きく、玄翁で叩いて使う叩き鑿と、手で削る突き鑿(仕上げ鑿)に分かれる。突き鑿は、掘った穴の跡をさらう仕上げに使われる[5]。この解説は、追入鑿という名を、横木を柱に「追って入れる」使い方に由来するとしている[5]。仕口の大入れは追い入れとも呼ばれる[14][15]。

削る:鉋

鉋は、材木の表面を削ってなめらかにする道具である。台木に刃をはめ込んだ台鉋が現れた時期は、辞典ごとに異なる。世界大百科事典は現在の台鉋が日本にあらわれたのは 16 世紀後半といわれるとし、デジタル大辞泉と精選版日本国語大辞典は室町時代に作られたとする。ブリタニカ国際大百科事典は、15〜16 世紀に中国から伝来した押し削り用の台鉋があり、江戸時代中期に現在の形になったとする[7]。日本大百科全書は 16 世紀ころとみる[6]。台鉋以前は、長い柄の先に笹の葉の形の刃を付けた槍鉋が使われた[6]。台鉋は板材や柱材の表面を仕上げるのに用いられる[7]。鉋には平鉋、溝鉋、丸鉋など、削る面の形に応じた種類がある[6]。

印を付ける:墨壺と墨さし

墨壺は、材の表面に長い直線を引く道具である。デジタル大辞泉は、糸を指で弾いて墨線を引く大工道具とする[8]。キノマチウェブの解説では、壺と糸と糸車が一体になった現在のような形の墨壺は、春秋戦国時代の中国で成立したとされる[9]。同じ解説は、日本では法隆寺の当初材に墨線が残っているが、墨壺そのものは残っていないとする[9]。竹中大工道具館の解説では、この一体型の墨壺は中国をはじめ朝鮮半島や東南アジアなど、中華文明が及んだ地域で使われており、欧米の墨壺は分離式である。かつては大工が自分で作ったが、明治になると専門の彫物師が作るようになったという[10]。

墨さしは、線を引いたり文字を書いたりするための、へら状の竹の筆である。墨壺と一緒に使われる[11]。

測る:曲尺

曲尺(かねじゃく)は L 字形の物差しで、「さしがね」とも呼ばれる[12]。表側には正規の長さの目盛りがあり、裏側には、表目の約 1.4 倍にあたる角目(裏目)と、表目を円周率で割った丸目が刻まれる[12][13]。角目は、丸太の直径から取れる角材の幅を読み取れるようにした目盛りである[12]。精選版日本国語大辞典は、905 年の「筑前国観世音寺資財帳」の「曲尺弐勾」を初出の用例として挙げている[12]。

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出典

本文で番号を付けていない資料は、事実確認のために参照したもの。

  1. 「大工道具」日本大百科全書(ニッポニカ)、コトバンク
    https://kotobank.jp/word/%E5%A4%A7%E5%B7%A5%E9%81%93%E5%85%B7-1357973
  2. 「鋸」コトバンク
    https://kotobank.jp/word/%E9%8B%B8-112123
  3. 「大鋸」世界大百科事典・ブリタニカ国際大百科事典・デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・日本大百科全書、コトバンク
    https://kotobank.jp/word/%E5%A4%A7%E9%8B%B8-39689
  4. 「鋸 日本での歴史」Wikipedia 日本語版(Weblio 辞書掲載)
    https://www.weblio.jp/wkpja/content/%E9%8B%B8_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A7%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2
  5. 「鑿(のみ)の種類と役割」hamono.gr.jp(平出刃mono)
    https://www.hamono.gr.jp/nomi.html
  6. 「鉋」コトバンク
    https://kotobank.jp/word/%E9%89%8B-471061
  7. 「台鉋」世界大百科事典・デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・ブリタニカ国際大百科事典、コトバンク
    https://kotobank.jp/word/%E5%8F%B0%E9%89%8B-90938
  8. 「墨壺」コトバンク
    https://kotobank.jp/word/%E5%A2%A8%E5%A3%BA-84992
  9. 「墨壺」木造・木質の基礎知識 AtoZ、キノマチウェブ
    https://kinomachi.jp/2944/
  10. 「遊びのある道具 墨壺の魅力」竹中大工道具館 邂逅(kobecco 掲載)
    https://kobecco.hpg.co.jp/90747/
  11. 「墨差」コトバンク
    https://kotobank.jp/word/%E5%A2%A8%E5%B7%AE-543539
  12. 「曲尺」デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・世界大百科事典、コトバンク
    https://kotobank.jp/word/%E6%9B%B2%E5%B0%BA-45948
  13. 「曲尺(差し金)」建築用語、匠 総合事務所
    https://kenchikuyogo.com/?page_id=3206
  14. 「大入れ」建築用語辞書、東建コーポレーション
    http://www.token.co.jp/estate/archipedia/word.php?jid=00016&wid=28840&wdid=01
  15. 「追(大)入れ(おい:おおいれ)」建築用語、匠 総合事務所
    http://kenchikuyogo.com/?page_id=1619