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継手と仕口の違い

投稿日 2026年7月8日 ・ 確かめた日 2026年10月5日

木造の骨組みは、基礎の上に土台を置き、柱を立て、柱の上に梁や桁を架けて組まれる。本記事では、材と材が出会う場面を二つに分けて扱う。同じ向きの材が端と端で出会う場面と、向きの違う材が角度をつけて出会う場面である。前者をつなぐ形を継手(つぎて)、後者を組む形を仕口(しぐち)という[1][2][6]。

継手:長さを補う

土台・梁・桁などの横架材は 4〜6 m の定尺で流通しており[20]、長い所では一本で足りない。長さが足りないときに材を継ぎ足すのが継手である[5][6]。

継手の位置には目安がある。柱から外へ持ち出した位置で継ぐとする解説が複数あり[13][20]、持ち出しの幅は柱から 15〜30 cm 程度[13]、または 15 cm 程度[26]とされる。理由として、梁や桁には曲げの力がかかるため、その力が大きくなる所を避けることが挙げられている[13][26]。

継手の種類と使い分け

継手の種類によって、伝えられる力が異なる。下山氏の解説では、追掛け大栓継ぎや金輪継ぎで継いだ材は一本ものと同等に扱えるとする。一方、腰掛け蟻継ぎに補強金物を加えたものは力を伝えられず、継手の位置を支点とする単純梁と見なすとしている[13]。野口氏の解説も、追掛け大栓継ぎは腰掛け蟻継ぎ・腰掛け鎌継ぎより強度に優れるとする[20]。

使う場所も分かれる。同じく野口氏の解説は、真壁造りの梁や桁の継手には追掛け大栓継ぎを勧め、土台には腰掛け蟻継ぎや腰掛け鎌継ぎを用いるとする。土台は基礎にボルトで緊結されるため、簡便な継手でよいという説明である[20]。アラキ工務店の解説も、腰掛け蟻継ぎは主に土台に使われる単純な継手で、引っ張りや曲げにはあまり強くないとしている[23]。

このように、継手の使い分けは、力の伝わり方や、使う場所によって説明されている[13][20]。

仕口:向きの違う材を組む

柱が土台に立つ所、梁が桁に載る所では、向きの違う材が出会う。ここを組むのが仕口である。

例として、直交する二本の材を高さを少しずらして噛み合わせる渡り腮[24][25]、一方の材の端に作った蟻形の枘を、もう一方の材の側面に彫った溝にはめ込む蟻掛け[10]がある。どちらも仕口に分類される[4]。

見分け方

継手か仕口かは、二本の材が同じ向きに並ぶか、角度をつけて出会うかで判断する。材が立っているか寝ているかは関係しない。たとえば柱の根元の傷んだ部分だけを新しい材に替える根継ぎでは、金輪継ぎや四方鎌継ぎが使われる[9][22]。柱は立っているが、上下の材が同じ向きに並ぶので、これは継手である。

名前は判断の手がかりにはなるが、決め手にはならない。蟻や鎌の形は継手にも仕口にも使われる[5][21][23]。下山氏の解説には、通し柱を挟んで左右の梁をつなぐ形を、仕口であるが「〜継ぎ」と呼ぶという記述がある[13]。また「継手」という語自体が、仕口を含む広い意味で使われることもある[3]。この継手 Web も、その広い意味で「継手」と呼んでいる。

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出典

本文で番号を付けていない資料は、事実確認のために参照したもの。

  1. 「仕口」日本大百科全書(ニッポニカ)小学館、コトバンク
    https://kotobank.jp/word/%E4%BB%95%E5%8F%A3-72841
  2. 「木造・木質の基礎知識 AtoZ【S】接合(継手と仕口)」キノマチウェブ(キノマチプロジェクト)
    https://kinomachi.jp/1701/
  3. "tsugite" JAANUS(Japanese Architecture and Art Net Users System)
    https://www.aisf.or.jp/~jaanus/deta/t/tsugite.htm
  4. "shiguchi" JAANUS
    https://www.aisf.or.jp/~jaanus/deta/s/shiguchi.htm
  5. 「伝統の技術(継手・仕口とは)」ふくしま木の家ネット(一般社団法人 福島県建築大工業協会)
    https://www.fukushima-kinoie.net/dentou/tsugite.html
  6. 「鎌倉の家を支える大工の技 継手・仕口」鎌倉材木店
    https://kama-kura.com/wood/work.php
  7. 「継手」Wikipedia 日本語版
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B6%99%E6%89%8B
  8. 「『四方鎌継ぎ』と『不可能四方鎌継ぎ』」組木屋
    https://www.kumikiya.com/single-post/2019/06/08/%E3%80%8C%E5%9B%9B%E6%96%B9%E9%8E%8C%E7%B6%99%E3%81%8E%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%80%8C%E4%B8%8D%E5%8F%AF%E8%83%BD%E5%9B%9B%E6%96%B9%E9%8E%8C%E7%B6%99%E3%81%8E%E3%80%8D
  9. 「柱の根継ぎ」カワカミ ユキヲ、note
    https://note.com/kominkanist/n/nab9e417a716b
  10. 「蟻掛」デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典、コトバンク
    https://kotobank.jp/word/%E8%9F%BB%E6%8E%9B-428210
  11. 「寄せ蟻」デジタル大辞泉、コトバンク
    https://kotobank.jp/word/%E5%AF%84%E3%81%9B%E8%9F%BB-654365
  12. 「貫工法(ぬきこうほう)とは?」キノマチウェブ
    https://kinomachi.jp/6676/
  13. 下山眞司「第Ⅴ章 胴差・梁・桁の継手、通し柱との仕口」(Ameba ブログでの再掲)
    https://ameblo.jp/archi1217ss-7/entry-12926333839.html
  14. 「おもしろ継手の河合継手を作ってみよう!」技術評論社 gihyo.jp
    https://gihyo.jp/article/2024/09/3dp-jungle-08
  15. 「角材を三方向に繋ぐ『河合継手』を採用した指輪が ADCA プラチナ賞を受賞」工学院大学
    https://www.kogakuin.ac.jp/news/2023/2024012204.html
  16. 杉田・大野「伝統構法『継手・仕口』をどのようにしたら伝承できるか」日本大学工学部 講演会 No.40
    https://www.cit.nihon-u.ac.jp/kouendata/No.40/4_kenchiku/4-018.pdf
  17. 「四方鎌継ぎ」小宮仏壇店
    https://komiyabutsudan.com/2013/05/shihokamatsugi/
  18. 「伝統構法の木組みについて」E-TECH 一級建築士事務所
    https://e-tech.work/entry/20200911/1599805769
  19. 「寄せ蟻(よせあり)」匠 総合事務所 建築用語辞典
    https://kenchikuyogo.com/?page_id=11368
  20. 野口泰司「第1章/真壁 04/横架材(梁・桁・胴差・土台)の継手」野口泰司建築工房 建築日記
    https://noguchintk.exblog.jp/21568247/
  21. 「仕口」建築用語集、DAIKEN
    https://www.daiken.jp/buildingmaterials/glossary/construction/shiguchi/
  22. 「社寺・古民家修復における根継ぎ」曳家岡本
    https://www.hikiyaokamoto.com/archives/3049
  23. 「腰掛蟻継」京町家の木組み、アラキ工務店
    https://www.kyoto-araki.jp/kyomachiya/kigumi/koshiari.html
  24. 「渡り腮」社寺建築・伝統建築 用語説明、清水建設
    https://www.shimz.co.jp/shazi/description/42.html
  25. 「渡腮」精選版 日本国語大辞典、コトバンク
    https://kotobank.jp/word/%E6%B8%A1%E8%85%AE-2094238
  26. 「継手位置 持出しの理由」ミカオ建築館 BLOG、楽天ブログ
    https://plaza.rakuten.co.jp/mikao/diary/202101310002/
  27. 「材木の種類や寸法 規格・サイズ・部材名などの豆知識」diy-ie.com
    https://diy-ie.com/ch-zairyou-mokuzai5.html
  28. 「真壁(大壁)」SUUMO 住まいの用語辞典
    https://suumo.jp/yougo/s/shinkabe/
  29. "dodai" JAANUS
    https://www.aisf.or.jp/~jaanus/deta/d/dodai.htm